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【映画】2010年度映画ベスト

2010年12月31日 17:58

 こんにちは、mayaです。
 今年も残すところ、あとわずかとなりました。そんなわけで、これまでのライトノベル、小説、マンガ、音楽に引き続き、2010年に聞いて、観て、あるいは読んで良かったものについての簡単なメモとなります。今回で最後ですね、映画に関して――


【2010年 映画・ベスト】
 ※映像は全てトレーラーです。


 

◇クリストファー・ノーラン監督、『インセプション』(アメリカ、2010)
 キャスト:レオナルド・ディカプリオ、渡辺謙、他
 公式URLはこちら

 眠っている間に、その人の潜在意識に侵入して、アイデアなどを盗み出すスペシャリストのコブ(=レオナルド・ディカプリオ)は、ふとしたきっかけで国際指名手配を受けてしまいます。そんなコブは名誉挽回のために「インセプション」というミッションに立ち向かうのですが――
 あの《バットマン》シリーズの傑作『ダークナイト』を手がけた鬼才、クリストファー・ノーランが監督という時点で、もう期待で胸がはち切れそうになりますが、本作はむしろ、良質なSFサスペンスといったふうで、少なくとも、観終わった後にネットなどで他の人のレビューを確認したくなるぐらい、いくつかの伏線、トリックなどが有機的に機能しています。映画館だけじゃ足りない。DVDレンタルするしかない。それでも、まだ分からない!w
 今年のSF映画の最高峰。ちょっとだけ物足りないとしたら、渡辺謙さんがいまいち役に合っていなかったかな、といったことぐらい。お正月にこそ、ぜひどうぞ。




 

◇ニール・プロムカンプ監督、『第9地区』(オーストラリア、2009)
 キャスト:シャールト・コプリー、他
 公式URLはこちら

 南アフリカ共和国のヨハネスブルグに、突然、エビ(=地球外生命体のこと)が舞い降り、それから28年後、南アの第9地区(=スラム)で人間はエビと戦いつつも共生をしていました。そのエビを強制退去させようと派遣されたヴィカス(シャールト・コプリー)はふとしたことで、さらなる戦いの引き鉄を引いてしまうのですが――
 上記の『インセプション』と同様、2010年度のSF映画を代表する作品。ただし、ちょっとばかし癖があって、手放しで素晴らしいと言える作品ではないのですが、日本のアニメの影響がかなり垣間見れるところを含めて、アニメファンにこそ観てほしい作品です。特に、メカ好きの人は必見!




 

◇トーマス・アルフレッドソン監督、『ぼくのエリ、200歳の少女』(スウェーデン、2008)
 キャスト:カーレ・ヘーデブラント、リーナ・レアンデション、他
 公式URLはこちら

 ストックホルムの郊外、12歳のオスカー(カーレ・ヘーデブラント)は学校でいじめられていましたが、あるとき隣に引っ越してきたエリ(リーナ・レアンデション)と出会ったことにより、せめていじめにあわないぐらい強くなろうと願います。その一方、ストックホルムでは全身の血を抜き取られた青年の死体が見つかっていました――
 ヨン・リンドクヴィストの『モールス』(ハヤカワ文庫NV)を原作者自らが脚色して、2008年の映画公開後、世界中の映画賞を総ナメにしてきたヴァンパイアもの。ポイントはそのモンスターを少女が演じているということ。これはもう、観にいくっきゃないと、エリ目的で行ったわけですが、そのストーリーと演出の高さに思わず、「あ、これ、すげーや」と感嘆していました。猟奇殺人、吸血鬼の少女、その少女に焦がれる少年、そしてストックホルム郊外の冷たさと、残酷なまでの子供たちの世界。その全てが素晴らしい。
 とはいえ、本当に、本当に、本当に(!!)、残念なのが、とあるシーンで、とある部分にぼかしが入っていたこと!! くそう、こうなったら、日本を飛び出して海外で見てやろうかと、真剣に思ったほどです。
 2011年2月にDVD化とのことなので、未見の方はぜひどうぞ。




 

◇カニー・ルコント監督・脚本、『冬の小鳥』(韓国、フランス、2009)
 キャスト:キム・セロン、パク・ドヨン、コ・アソン、他
 公式URLはこちら

 孤児院に入れられた少女のジニ(キム・セロン)は、いまだに父親が戻ってきてくれると信じています。その孤児院で知り合ったスッキ(パク・ドヨン)と意気投合し、屋上で死にかけていた小鳥をひっそりと飼いはじめるのですが、一人、またひとりと、里親にもらわれて去っていく子供たち。それでも、ジニは頑なに父親を待ち続けます――
 とにもかくにも、ヴァンパイアのエリも可愛いんだけど、このジニも、めちゃくちゃ可愛い!(ええと、断っておきますが、ロ×が出ている映画をすべからく推薦しているわけじゃありませんよ、本当です) とりあえず、公式サイトでジニが可愛いと思った紳士の皆さんは、すぐに観にいきましょう(ひどい紹介の仕方だな、おい)。




 
 ※スペイン語のトレーラーです

◇ホアン・カセ・カンパネラ監督、『瞳の中の秘密』(アルゼンチン、2009)
 キャスト:リカルド・ダリン、ソレダ・ビジャミル、他
 公式URLはこちら

 刑事裁判所を退職したベンハミン(リカルド・ダリン)は、以前担当した未解決の殺人事件をネタにした小説を執筆しようと試み、昔のボスの女性検事補イレーネ(ソレダ・ビジャミル)と共に、再度、その事件の闇へと迫っていくことになるが――
 原作があるなら、ぜひとも読んでみたい作品。タイトルのとおり、登場するキャラクターのいずれの瞳にも秘密がひそんでいます。そんな静謐な雰囲気が良く、また、過去の出来事をベンハミンの小説で振り返るというフラクタルな構造にもなっていて、そんな仕掛けも良いという、一粒で二度美味しい作品です。
 映画『インセプション』とはベクトルが異なり、人間の情念の奥深さをその目でそっと語るといった大人のサスペンス作品です。どんでん返しを楽しみたい人はぜひどうぞ。




 

◇石原立也監督、『劇場版 涼宮ハルヒの消失』(京都アニメーション)
 キャスト:杉田智和、平野綾、茅原実里、後藤邑子、小野大輔、他
 公式URLはこちら

 2000年代のアニメのベスト5に入る作品。正直なところ、《涼宮ハルヒ》シリーズは原作の1巻と、2巻を途中まで読んで止めていたのですが、この映画を観たことで、原作を一気に揃えてしまったのはいうまでもありません。それほど、少なくとも、原作未読者にとってみれば、この映画の出来はすごく良く、何よりも2時間40分が気にならないくらい面白かったです。
 特に、キョン(杉田智和)が「(ハルヒに振り回された)非日常が本当は楽しかったんだろう?」と、自らに問いつめるシーンは本作中の白眉――これこそ、ライトノベルの真髄に他ならないのではないでしょうか。ちなみに、個人的には、最後の病院のシーン、夕日を浴びて、寝袋でぐっすりと眠っているハルヒがすごく好きです。ツンデレ少女の寝顔って宝物ですね!
 で、やっぱり、ライトノベルの主人公はここぞってときに、飛び出しかねない勢いで走らなきゃならない――そんなふうに空でも、少女でもないんだけど、「平行世界をかけた少年」の物語。続きが気になる方は、原作の『涼宮ハルヒの陰謀』(谷川流、角川スニーカー文庫)をどうぞ。

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【音楽】2010年度邦楽ベスト

2010年12月31日 17:41

 こんにちは、mayaです。
 今年も残すところ、あと10時間を切りました。そんなわけで、これまでに引き続き、2010年に聞いて、観て、あるいは読んで良かったものについての簡単なメモとなります。今回は、音楽に関して――



【2010年 邦楽・ベスト】


 
amp-reflection(初回生産限定盤)(DVD付)amp-reflection(初回生産限定盤)(DVD付)
(2010/04/14)
school food punishment

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◇school food punishment、『amp-reflection』

 アニメ『東のエデン』のEDテーマ「futuristic imagination」でメジャーデビュー、その後、ハイセンスなシングルを出し続け、同じく映画の『東のエデン』のEDを二回に渡って担当。それら全てのシングルを含めた、メジャーデビュー・アルバムがこちら。
 都会的で洗練された雰囲気をもったデジタル・ロックを中心にしつつも、インディーズの頃のとがった部分よりも、多くのリスナーが聴きやすいポップさを追求していて、それにも関わらずR&B、ラウド・ロックやテクノの要素をふんだんに散りばめているといった、何とも意欲的な作品です。
 なお、インタビューによると、タイトルの意味は、amp(自分の中にインプットされたものが増幅されること)- refleection(それが色んな人々に反射して返ってくること)とのこと。




 
SOLID BREAKS UPPER(初回限定盤)(DVD付)SOLID BREAKS UPPER(初回限定盤)(DVD付)
(2010/05/12)
ザ・ジェッジジョンソン、YMCK 他

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◇ザ・ジェッジ・ジョンソン、『SOLID BREAKS UPPER』

 TOWER RECORDにふらりと寄って、視聴してみて大発見だったのがこのエレクトロ・ロックバンド。キャリアとしては、メジャーではすでに三枚目のアルバムとなり、インタビューによると、このアルバムで目指したものは「ポップンミュージック」とのこと。実際に、収録されている作品のメロディーがとても心地よく、これまでのアルバムで培ってきたことをよりソリッドに、そして新しいものへとブレイクし続けていくことをタイトルとして高らかに宣言しています。
 個人的なお気に入りは、「close to me」、YMCKをfeatした「clear mind」。少しだけ残念だったのが、アルバムに先立って発表されたシングル「tomorrow」が収録されていなかったこと。

 
 ザ・ジェッジ・ジョンソン、『tomorrow』(公式)




 
NicheシンドロームNicheシンドローム
(2010/06/09)
ONE OK ROCK

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◇ONE OK ROCK、『Nicheシンドローム』

 今や、日本のロックシーンを代表するバンドに伸し上がったONE OK ROCK。武道館にて行われたライブを収めたDVD『THIS IS BUDOKAN! 2010.11.28』も2011年に発売されることが発表され、最も勢いに乗っているといっていいでしょう。
 2009年5月、ギターのAlex脱退後の活動休止期間を経て、ライブにて高らかに歌われた「完全感覚Dreamer」、その余韻も覚めやまないうちに2010年2月にシングルとして発表され、2010年6月には本作、4thアルバム『Nicheシンドローム』をリリース。
 パーフェクトだった3rdアルバム『感情エフェクト』と比べて、かなりヘヴィで、より攻撃的で、アルバムのジャケットにあるとおり、まさに日本をこのバンド色に染め上げてしまおうかというぐらい力強い曲が並んでいます。
 先述のDVDと同時期にニューシングルのリリースも予定されていて、2011年もさらなる飛躍の年となるにちがいありません。

 
 ONE OK ROCK、『完全感覚Dreamer』(公式)




 
革命エントランス革命エントランス
(2010/09/29)
Jeepta

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◇JEEPTA、『革命エントランス』

 今年デビューしたロックバンドでは、個人的に猛烈にプッシュです。メジャーデビュー・シングルとなった『日進月歩』、そしてテレビ東京の『JAPAN COUNT DOWN』のEDに起用された『理想郷』、この二作だけでリスナーの心をがっちりと掴んで、2010年9月にメジャーデビュー・アルバムとなる『革命エントランス』を発表。
 詳しいことについては、すでにブログ内にて記事をアップしているので、そちらを参照ください。とにもかくにも、今後が最も楽しみなバンドです。

 
 JEEPTA、『日進月歩』(公式)




 
GoldfingersGoldfingers
(2010/10/27)
東京スカパラダイスオーケストラ、奥田民生 他

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◇東京スカパラダイスオーケストラ、『Gordfinger』

 実のところ、スカパラのアルバムを買ったのは、2007年のベストアルバムぶりというわけで、それほど熱心なファンではなかったのですが、上原のぞみさんをfeatしたシングル『水琴窟』にて一発でノックダウン。PVのかっこよさ、楽曲の素晴らしさにやられて、すぐにアルバムを買い求めました。
 スカパラといえば、その圧倒的なライブパフォーマンス、そしてオリジナル・ラブの田島貴男さんや奥田民生さんなどとのコラボレーションで有名ですが、個人的には、今回のコラボレーションはスカパラ最大の成果といってもいいんじゃないか、というほど惚れ込んでいます。
 ちなみに、このアルバムには、他に中田ヤスタカさんによるREMIXなども入っています。

 
 東京スカパラダイスオーケストラ、『水琴窟 feat.上原のぞみ』




◇その他

 
・birds melt sky、『ミライミライ』(公式)

 
・アーバンギャルド、『傷だらけのマリア』(公式)

 
・雅 –miyabi-、『TORTURE』(公式)

 
・★STAR GUiTER、『FUTURE』(公式)

 
・大橋トリオ、『HONEY』(公式)


【マンガ】2010年度ベスト

2010年12月31日 11:49


 こんにちは、mayaです。
 今年も残すところ、あと24時間をとっくに切っていました。そんなわけで、前回、前々回に引き続き、2010年に聞いて、観て、あるいは読んで良かったものについての簡単なメモとなります。今回は、マンガに関して――


【2010年 マンガ・ベスト】


 
黄昏乙女×アムネジア 2 (ガンガンコミックスJOKER)黄昏乙女×アムネジア 2 (ガンガンコミックスJOKER)
(2010/01/22)
めいびい

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黄昏乙女×アムネジア 3 (ガンガンコミックスJOKER)黄昏乙女×アムネジア 3 (ガンガンコミックスJOKER)
(2010/07/22)
めいびい

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◇めいびい、《黄昏乙女×アムネジア》シリーズ、2・3巻(スクエアエニックス)

 2009年、表紙の夕子さんに引かれて、ジャケ買いをしてしまった1巻。そのときには、ライトノベルでもありがちな幽霊デレのオチモノでしかないかなー、と思っていたのですが、2010年、この2巻、3巻で一気に化けてきました(ヒロインの夕子さんが幽霊だけにね!)。
 そんな夕子さんがいつも微エロなのは相変わらずなのですが、主人公と同じ部活の小此木さんだけでなく、幽霊が見える体質の霧江さんという対抗ヒロインも登場してきてさらにハーレム度がアップ。しかもそれだけに留まらず、サイコスリラーな要素もアップしてきたのですから、今後の展開に目が離せなくなるのは当然です。
 とにもかくにも、めいびいさんの描くイラストを気に入った方は、購入して間違いなし。毎回、表紙をめくったところに描かれている夕子さんが可愛いのも高ポイントです。
 現在、3巻まで発売中。


 
超人学園(1) (少年マガジンKC)超人学園(1) (少年マガジンKC)
(2010/03/17)
石沢 庸介

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超人学園(2) (少年マガジンコミックス)超人学園(2) (少年マガジンコミックス)
(2010/09/17)
石沢 庸介

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超人学園(3) (少年マガジンコミックス)超人学園(3) (少年マガジンコミックス)
(2010/12/09)
石沢 庸介

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◇石沢庸介、《超人学園》シリーズ、1~3巻(講談社)

 今年は、諌山創さんの『進撃の巨人』(講談社)がネット上で大きく取り上げられたこともあり、『別冊少年マガジン』誌の漫画が多いに語られる年となりました。よく聞いたのは、「別マガなら、進撃の巨人か、バニラスパイダーか、超人学園か――」
 というわけで、わたしはこの『超人学園』をプッシュなのです。基本的には、《ONE PIEACE》シリーズの演出をもろに前面に出し、それを繰り返してくるためにちょっとばかしマンネリ感があるのですが、何にしても、1巻の小生ことハチのエピソードがいい。チョッパーもそうですが、動物は卑怯ですよw
 3巻に入って、家なき子のエピソードがやや長いなと感じつつも、これで残るのは妖怪だけといったところでしょうか。さて、どのように展開していくのか楽しみです。
 現在、その3巻まで発売中。


 
卒業生-春- (EDGE COMIX)卒業生-春- (EDGE COMIX)
(2010/01/28)
中村 明日美子

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卒業生-冬- (EDGE COMIX)卒業生-冬- (EDGE COMIX)
(2010/01/28)
中村 明日美子

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◇中村明日美子、『卒業生 ‐春‐』、『同‐冬‐』(茜新社)

 2010年7月に急病により、執筆休止をしてしまった中村明日美子さん。ここ1、2年で一気に知名度を上げてきて、今年は『このマンガがすごい』の女性版でトップ10にランクインしていただけに、何とも惜しまれるところです。
 本作は、2008年に発表されて、中村明日美子さんのファン層を一気に広げた『同級生』の続編となります。中村明日美子さんといえば、倒錯的なエログロといったイメージがどうしてもありますが、この数年に発表された短編集のようにさわやかな恋愛モノでも、その筆力をいかんなく発揮できる作者さんで、ジャンルはまあBLに入るわけですが、男性読者にもお勧めのできる良質な青春モノとなっています。佐条、可愛いよ佐条!
 そうそう、男性読者でBLはちょっとなあという方は、『片恋の日記少女』(白水社)や『曲がり角のボクら』(同)あたりから入るのがベターかもしれません。


 
とある科学の超電磁砲 5 特装版―とある魔術の禁書目録外伝 (電撃コミックス)とある科学の超電磁砲 5 特装版―とある魔術の禁書目録外伝 (電撃コミックス)
(2010/06)
鎌池 和馬

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◇冬川基、《とある科学の超電磁砲》シリーズ、5巻(電撃コミックス)

 今年は、個人的に《とある魔術》シリーズにどっぷりとハマッたシーズンになりました。そのきっかけとなったのがこちらの漫画。前々からこのシリーズは購入していたのですが、この巻にて登場したアイテム4人組がいったいどんなふうになるんだろうかと興味が湧いて(ついでに打ち止めももちろん可愛くて)、結局のところ、原作を全て買ってしまったわけなんです。打ち止め可愛いよ打ち止め!w
 まあ、それはともかく、原作では瞬殺されてしまったフレンダ、同じくすぐにお亡くなりになったはずの絹旗たんがこの巻で超活躍しているのが超ポイント。何で、原作ではこの二人が超殺されちゃったんだよー、超かまちー先生!
 ちなみに、読み返してみると、このアイテム四人組、3巻でちらりと出ているんですよね。いっそのこと、もうひとつ外伝を作って、『とある都市の暗部組織(アイテム)』なんかやってくれないですかね。
 現在、こちらの外伝漫画は5巻まで、本編の方の漫画は7巻まで、そして原作のライトノベルは22巻まで発売中です。


 
乱と灰色の世界 2巻 (ビームコミックス)乱と灰色の世界 2巻 (ビームコミックス)
(2010/11/15)
入江 亜季

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◇入江亜季、《乱と灰色の世界》シリーズ、2巻(エンターブレイン)

 入江亜季さんといえば、《群青学者》シリーズ(エンターブレイン)で高い評価を受けてきた作家さんですが、あちらの作品は雑多な短編集という色合いが強く、この《乱と灰色の世界》シリーズにて長編作家としてのポジションを確立したといってもいいでしょう。古いラノベ好きだったら、徳間デュアル文庫などに挿絵を書いていた入江アリ名義の方を覚えているかもしれません。
 そんな入江さんの魅力といえば、レトロテイストな作風であり、萩尾望都さんや竹宮恵子さんの影響をダイレクトに受けているといったふうで、最近の漫画の中ではまちがいなく、エブリデイマジックの最高峰といったところでしょうか。
 この2巻では、主人公でありヒロインの乱のラブストーリーに広がりを見せるだけでなく、兄の陣、そして母の静と父の全にもそれぞれ恋愛要素が用意されていて、さらに「骸虫」の侵略もあり、一気にストーリーの幅を広げてきた感があります。
 現在、2巻まで発売中。


 
描かないマンガ家 1 (ジェッツコミックス)描かないマンガ家 1 (ジェッツコミックス)
(2010/11/29)
えりちん

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◇えりちん、『描かないマンガ家』(白泉社)

 正確には、描けないマンガ家といった方がいいでしょうかw わたしも、長らくとある投稿サイトにお世話になってきたわけですが、たまにこの主人公の渡部勇大くんみたいなキャラクターが出てくるんですよね。いわゆるビッグマウス――いや、言うだけいって、ちゃんと描いているならまだマシなんですよ。でも、たいてい、掲示板やチャットなどで上から目線で教えたがったり、業界話をしたりするわりには、全くもって実力が伴っていない、あるいは何にも描かないといったタイプが百害あって一利なしで、本作はそんな後者のお話、漫画家志望バージョンです。
 とはいえ、さすがにフィクションだけあって、この渡部くん、色々な紆余曲折を経て、意外とモテるんです。そこだけが許せないw まあ、何にしても、ペンネーム、電魔姦汁漏こと、山井真琴先生によるエログロド鬼畜、ハードコア無修正モノの新刊を楽しみに待っていますw
 そんなわけで、とある投稿サイトに一年ぐらいお世話になっている人には、「あー、これあるある」といった感じですぐに馴染める作品です。ところどころの名言(迷言?)にたまに痺れます。


 
斬り介とジョニー四百九十九人斬り (KCデラックス)斬り介とジョニー四百九十九人斬り (KCデラックス)
(2010/12/22)
榎本 俊二

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◇榎本俊二、『斬り介とジョニー四百九十九人斬り』(講談社)

 雑誌『アフタヌーン』にて、一挙掲載120ページという離れ業にて発表されたこの作品。とりあえず、タランティーノも、ドン・ウィンズロウもびっくりなほど、斬る、斬る、斬る、といった感じで、タイトルに偽りなく、499人ものキャラがこの一冊で斬り殺されているのは間違いありません(さすがに数えてませんがw)。
 血が血で洗われていくかのような凄惨で壮絶なスピード感は、少しばかり人を選ぶかもしれませんが、2010年アクション漫画の最高峰といっても過言ではなく、とりあえず、まずは読んでください、としか言いようのない圧倒的なユニークネスを持った作家さんです。



なんだ!?このマンガは!?なんだ!?このマンガは!?
(2010/10/23)
J君

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◇「BLACK徒然草」管理人J君、『なんだ!? このマンガは!?』(彩図社)

 漫画そのものではなく、漫画評論になります。レビューサイトの「BLACK徒然草」といえば、へんてこな漫画ばかりを取り上げることで有名なサイトさんですが、本作は、そのレビューの中から選りすぐりのものをピックアップしたものとなっています。
 人気のいない道路で裸になってオナニーをしながら愛をかわすカップルを描いた『超愛の人』(成田アキラ、講談社)、板垣恵介さんもびっくりの『超劇画 聖徳太子』(滝沢解など、小学館)や、愛国無罪で一部にはきわめて有名な『ケンペーくん』(ならやたかし、ブッキング)など、取り上げられる作品のへんてこさは明らかに異常w さらに、管理人J君の淡々としたツッコミからなるレビューも秀逸w
 ちょっとだけ不満があるとしたら、fukkan.comなどで復刊された作品の情報が載っていないこと。つまり、漫画初出時の情報しか載っていないので、情報を大事にする漫画評論としてはどうなのかな、とは思います。
 いずれにしても、漫画を読まなくても、レビューだけでその内容がありありと分かり、しかも腹をかかえて笑うことのできる稀有なレビュー集となります。というか、表紙を描いた漫☆画太郎さんに言いたい――あなたの漫画こそ、なんだ!? このマンガは!? じゃないかw

【小説】2010年度ベスト

2010年12月30日 01:46


 こんにちは、mayaです。
 今年も残すところ、あと一日となりました。そんなわけで、前回に引き続き、2010年に聞いて、観て、あるいは読んで良かったものについての簡単なメモとなります。今回は、一般の文芸・エンターテイメント小説に関して――


【2010年 文芸・エンターテイメント・ベスト】


◆文芸


 
音もなく少女は (文春文庫)音もなく少女は (文春文庫)
(2010/08/04)
ボストン テラン

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◇ボストン・テラン、『音もなく少女は』(文春文庫)

 ボストン・テランがこんなふうに確変するとはッ! というまさに驚きの一冊。
 10年ぐらい前に『神は銃弾』(文春文庫)で『このミス』の一位を取ったときには、書店員から「こんなエログロ、売れねーよ」と散々に叩かれたわけですが、それから紆余曲折を経て、本作のように重く、それでいて清々しく、何よりも乾坤一擲、力強い作品を書き上げてきたのだから本当に恐れ入ります。
 昔から、この作者はどうしようもない男たちと、そんな男に翻弄されながらも必死に生き抜こうとする女性を描くのが非常に上手かったわけですが、本作は、まさしくその本領発揮といっていいでしょう。どうしてもミステリとして紹介されがちな本作ですが、実のところ、女性たちの生き様を描いた2010年度最高の文芸作品だと思います。


 
おっぱいとトラクター (集英社文庫)おっぱいとトラクター (集英社文庫)
(2010/08/20)
マリーナ・レヴィツカ

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◇マリーナ・レヴェッカ、『おっぱいとトラクター』(集英社文庫)

 ボストン・テランの作品の後に、おっぱいはないだろうと思われるかもしれないけどw、84歳のおじいちゃんが48歳も年下のウクライナ人の女性を後妻に迎えたことで生じるドタバタコメディを主軸にしつつも、東欧で翻弄され続けたウクライナの歴史を重厚に切り取ってみせたこの作者の手腕には、まさしく脱帽の一言。
 コメディパートは、イギリス映画の『ウェイクアップ・ネッド!』を思い出させるようなてんやわんやなユーモアが満載で、その一方で、ウクライナ人女性の凄惨なルーツにはつい愕然とさせられてしまう――移民、紛争とアイデンティティ、そして恋愛と家族にまつわる本年度最高の物語。


◆SF


 
ここがウィネトカなら、きみはジュディ 時間SF傑作選 (SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー)ここがウィネトカなら、きみはジュディ 時間SF傑作選 (SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー)
(2010/09/22)
テッド・チャン、クリストファー・プリースト 他

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◇大森望編、『ここがウィトネカなら、きみはジュディ』(ハヤカワ文庫SF)

 SFマガジン創刊50周年記念アンソロジーの第二段として、「時間SF」をテーマに大森望さんが編集したアンソロジー。収録作家は、テッド・チャン、クリストファー・プリ-スト、エフィンジャー、シルヴァーバーグやスタージョンなど。
 とにもかくにも、収録作品のクオリティがとても高くて、一つの外れもなし。「時間ロマンス」、「奇想」と「時間ループ」をテーマにした三部構成となっていて、個人的に最も気に入ったのは、イアン・ワトスンの『彼らの生涯の最愛の時』――語り口がとてもユーモラスで、タイムトラベルものらしい読後感の爽やかさもあって、そんな一口で二度美味しいストーリーに盛大な拍手です。
 ちなみに、他にも、「宇宙開発」をテーマとした中村融さんのアンソロジー、あるいは「ポストヒューマン」をテーマにした山岸真さんのものもすでに発売されていて、それぞれ、本作に負けず劣らずのクオリティです。


 
ハンターズ・ラン (ハヤカワ文庫SF)ハンターズ・ラン (ハヤカワ文庫SF)
(2010/06/30)
ジョージ・R・R・マーティン、ガードナー・ドゾワ 他

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◇ジョージ・R・R・マーティン、ガードナー・ドゾワ&ダニエル・エイブラハム、『ハンターズ・ラン』(ハヤカワ文庫SF)

 最近、ツイッターのTLで共作の話をちらほらと見かけるのですが、本作は1977年にガードナーがアイデアを起こし、マーティンと共同で作品を膨らませたものの、82年以降、20年間もガードナーの書斎に眠ることとなり、その後、困ったガードナーが若手のエイブラハムにぽいと放り投げ、若さゆえの過ちなのか、大幅に作品を削除して書き足しまくったエイブラハムをマーティンがなだめすかし、こうして、ついに再びガードナーのもとへと戻って日の目を見ることとなった作品――
 ジョージ・R・R・マーティンの名前がタイトルの下にドンッと載っているために、マーティンの作品なのかなと思いがちですが、文章の割合としてはエイブラハムの方が多いようで、実のところ、マーティンほどの凄みといったものはありません。とはいえ、ダメ男によるダメ男のためのダメ男ブルーズ全開の冒険SFとなっていて、「よう、ダチ公、たとえダメ男だってこんなにカッコいい生き様を見せられるんだぜ!」といったふうな2010年度の『SFが読みたい』でも一位が有力視されている、見事なおっさんほいほいSFです(すげえほめてます)。


 
去年はいい年になるだろう去年はいい年になるだろう
(2010/04/02)
山本 弘

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◇山本弘、『去年はいい年になるだろう』(PHP研究所)

 出版元で敬遠する人もいるかもしれないけど、2010年度のタイムトラベルものの傑作です。PHPだからといって、食わず嫌いだと損をします。でも、もうちょっとマシなところから出してほしかった……
 とはいっても、今回は、山本弘さん特有のハードSFとはちょっとばかし事情が異なり、ご本人が「私小説」だと紹介しているとおり、主人公は45歳の家庭をもったSF作家。そして、未来からガーディアンと名乗るオーバーテクノロジーを持ったアンドロイドがやってきて、「人を不幸から守る」という名目で、どんどんと歴史を改変していくことになります。それに対して、主人公はもうてんやわんや。
 ここ最近の山本弘さんの評価を決定づけてきた、『アイの物語』(角川文庫)、『MM9』(創元SF文庫)などと比べると、少しばかり物足りなさもありますが、さらりと読めて、SFテイストにも溢れ、ラストにグッとくること受け合いな良質な作品だと思います。


 
英雄たちの朝 (ファージングI) (創元推理文庫)英雄たちの朝 (ファージングI) (創元推理文庫)
(2010/06/10)
ジョー・ウォルトン

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暗殺のハムレット (ファージング?) (創元推理文庫)暗殺のハムレット (ファージング?) (創元推理文庫)
(2010/07/27)
ジョー・ウォルトン

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バッキンガムの光芒 (ファージング?) (創元推理文庫)バッキンガムの光芒 (ファージング?) (創元推理文庫)
(2010/08/28)
ジョー・ウォルトン

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◇ジョー・ウォルトン、《ファージング》シリーズ(創元推理文庫)

 ミステリ、サスペンスやSFといったジャンルをクロスオーバーした改変歴史小説。そういう意味では、昨年のマイケル・シェイボンの『ユダヤ警官同盟』(新潮文庫)に近いかもしれませんが、シェイボンの作品のような重苦しさや、ユダヤの歴史を知らないと読み難いといったようなハードルは全くありません。
 本作は三部作で、それぞれ、ちょっとばかし色合いが違います。たとえば、一作目の『英雄たちの朝』は古典的なミステリ、二作目の『暗殺のハムレット』はスパイもの風味のサスペンス、三作目の『バッキンガムの光芒』はさながらジェットコースタームービーといったふうで、いずれにしても良質なエンターテイメントに仕上がっています。
 2010年度の『SFが読みたい』における『ハンターズ・ラン』の対抗であり、むしろ本命といってもいいでしょう。三作もありますが、上記のとおり、それぞれで風味が違うので、時間をかけて楽しむのも吉です。


◆ミステリ(サスペンス)


 
ラスト・チャイルド(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)ラスト・チャイルド(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(2010/04/30)
ジョン・ハート

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ラスト・チャイルド(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)ラスト・チャイルド(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
(2010/04/30)
ジョン・ハート

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◇ジョン・ハート、『ラスト・チャイルド 上・下』(ハヤカワ・ミステリ文庫)
※ハヤカワ・ポケット・ミステリからも同時出版

 この作者はデビュー作の『キングの死』(ハヤカワ・ミステリ文庫)から一貫して、同じテーマをずっと書き続けています――それは父親との対峙、そして家族愛。寡作ながらも、すでに若手ハードボイルド作家の第一人者としての名声をほしいままにしていて、テーマは重く、その筆致も深い余韻を残します。
 本作でも、その力量はいかんなく発揮されていて、妹の失踪事件を機にバラバラとなってしまった家族のもと、13歳の少年ジョニーは身の危険をかえりみず、怪しい近隣の人々を監視し続けます。誰も信じられないという孤独。温かかった家族がまた戻ってくるのではないかという希望。そして、年相応の苦悩、葛藤、空しさやもどかしさ。そんなたった13歳の少年の人生という名の物語。
 早川書房創立65年、ハヤカワ文庫40周年を記念した作品であり、MWA(アメリカ探偵クラブ)賞長編賞、CWA(英国推理作家協会)賞をダブル受賞している作品です。つまり、これを読まなきゃ、2010年度は年を越せないといったところです。多くは語りません。ぜひ、どうぞ。


 
フランキー・マシーンの冬 上 (角川文庫)フランキー・マシーンの冬 上 (角川文庫)
(2010/09/25)
ドン・ウィンズロウ

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フランキー・マシーンの冬 下 (角川文庫)フランキー・マシーンの冬 下 (角川文庫)
(2010/09/25)
ドン・ウィンズロウ

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◇ドン・ウィンズロウ、『フランキー・マシーンの冬 上・下』(角川文庫)

 タランティーノの『パルプ・フィクション』のように、面白いぐらいにどんどんと人が死んでいきます。本作は、そんなマフィアものの真骨頂であり、老いた殺し屋フランキー・マシーンのロード・ノベルでもあります。
 最初の50ページの安穏な生活を抜けたあたりから、一気にスピードアップ。本当の黒幕は誰なのか、そして裏切っているのは誰なのか、フランキー・マシーンは本当に窮地を脱することができるのか――そんなコンゲームのような心理合戦も楽しく、最良のページターナーとなることでしょう。
 惜しむらくは、日本人にとってはマフィアのファミリーネームなどが覚えづらく、最初のキャラクター紹介のページを何度も行ったりきたりする羽目になるといったところでしょうか。それでも、本年度ナンバーワンのサスペンスであることは揺らぎません。


 
失踪家族 (ヴィレッジブックス)失踪家族 (ヴィレッジブックス)
(2010/08/20)
リンウッド ・バークレイ

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◇リンウッド・バークレイ、『失踪家族』(ヴィレッジブックス)

 不思議なことに、今年は失踪モノの傑作が続きました。ジョン・ハートの『ラスト・チャイルド』も良いけど、こちらはむしろ、ミステリらしい謎解きとスリリングな展開で一気に読ませるエンターテイメントです。
 本作で特徴的なのは、失踪事件で取り残された少女シンシアを主役に置いたのではなく、その後にシンシアと結婚した夫が「わたし」という一人称で語るといったギミックでしょう。テレビ番組に出演したことで、シンシアの周囲に不可解な出来事が頻発するようになり、ついには殺人事件まで起こります。そして、「わたし」はシンシアさえも疑いはじめます。何が真実なのか。いったい、過去に何があったのか。
 中盤まで、全く展開の読めないストーリーは圧巻の一言。セバスチャン・フィツェックの『治療島』(柏書房)に近いといったところでしょうか。

【ライトノベル】2010年度ベスト

2010年12月29日 17:37


 こんにちは、mayaです。
 今年も残すところ、あと二日です。そんなわけで、2010年に聞いて、観て、あるいは読んで良かったものについて、そろそろ簡単なメモでも残しておこうかなといった感じで、ここにまとめていきたいなと思います。まずはライトノベルに関して――


【2010年 ライトノベル・ベスト】


 
フルメタル・パニック!11  ずっと、スタンド・バイ・ミー(上) (富士見ファンタジア文庫)フルメタル・パニック!11 ずっと、スタンド・バイ・ミー(上) (富士見ファンタジア文庫)
(2010/07/17)
賀東 招二

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フルメタル・パニック!12  ずっと、スタンド・バイ・ミー(下) (富士見ファンタジア文庫)フルメタル・パニック!12 ずっと、スタンド・バイ・ミー(下) (富士見ファンタジア文庫)
(2010/08/20)
賀東 招二

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◇賀東招二『フルメタル・パニック! 11 ずっとスタンド・バイ・ミー(上)』、『フルメタル・パニック! 12 ずっとスタンド・バイ・ミー(下)』(富士見ファンタジア文庫)

 2010年度、ライトノベルの最大のニュースといえば、この《フルメタル・パニック》シリーズが完結したということに尽きるのではないでしょうか。何しろ、最初の「戦うボーイ・ミーツ・ガール」が出た頃にはまだ学生だったわたしが、今ではもうすっかりおっさんですよw 一緒にこの作品を語らっていた友人たちなんか、すでに家庭を持っていたりもするし……何というか、時代の移り変わりといったものを感じさせます。
 まあ、それはともかく、まだライトノベルというジャンル名さえ定着していなかった時代――《スレイヤーズ》シリーズや《魔術師オーフェン》シリーズを抱えていた富士見書房が全盛期を誇っていた頃に、本作はスタートし、当時ピークを迎えていた早川の《星海》シリーズの新刊がいつまでたっても出ないという状況を横目に見つつも、電撃から発表された《ブギーポップ》シリーズとラノベレーベルの覇権を争いながら、あっという間に12年の時が過ぎ、こうして、ついに完結がなされたわけです。
 昔からの読者にしてみれば、まさか、その間に富士見ファンタジア文庫の装丁が変わってしまい、新装版を改めて買いなおす羽目になったりだとか、同じくVHSやDVDで購入したアニメをブルーレイボックスで買いなおす羽目になったりだとか、そのアニメのふもっふを制作した京都アニメーションがこんなにメジャーになってしまったりだとか、あるいは『RPGマガジン』のざしきわらしさん(=THE四季童子さん)が画集を出したりだとか、このシリーズにまつわる物事がこれほどに大きく展開していくとは予想だにしていなかったはずです。
 とはいえ、賀東さんはすでに新シリーズに着手していて、『コップクラフト』(小学館ガガガ文庫)がすでに2巻まで出ています。きぬたさとし名義でゼータ文庫から出していた『ドラグネット・ミラージュ』を改稿した作品で、今後は、警察小説に挑戦というわけで期待も大いに高まります。新しい十年はもうすでに始まっているというわけですね。


 
“菜々子さん”の戯曲  Nの悲劇と縛られた僕 (角川スニーカー文庫)“菜々子さん”の戯曲 Nの悲劇と縛られた僕 (角川スニーカー文庫)
(2010/07/31)
高木 敦史

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◇高木敦史『菜々子さんの戯曲 Nの悲劇と縛られた僕』(角川スニーカー文庫)

 2010年度にデビューした新人さんの作品で、一つだけ選ぶとしたならこちらかな、と。というのも、本田誠さんの『空色パンデミック』(ファミ通文庫)は『このラノ』や各種レビューサイトなどですでに取り上げられているし、朝田雅康さんの『二年四組 交換日記 腐ったリンゴはくさらない』(集英社SD文庫)はちと癖がありすぎるし……
 そんなわけで、発売前に作品の全文がスニーカー文庫の公式サイトにアップされるといった前例のない売り方をした本作については、そんな無謀な商売の仕方を受け入れた作者さんの度量といい、さらにこのいかにもラノベらしくない作風といい、まあ、色んなところに敬意を表したいなと思うわけなのです。
 そういえば、今年はどういうわけか、新人さんが次々と「信頼できないヒロイン」を発表するというシーズンになったみたいで、他にも、間宮夏生さんの『月光』(電撃文庫)、あるいは一肇さんの『くるくるり』(小学館ガガガ文庫)なんかも、ベクトルはややちがいますが、そんなジャンルに入れていいんじゃないかと思います。
 ちなみに、どうもスニーカー的にはこの《菜々子さん》シリーズを看板に持ってきたいようで、そんな意味でも期待をしています。

 
 
とある魔術の禁書目録(インデックス)〈22〉 (電撃文庫)とある魔術の禁書目録(インデックス)〈22〉 (電撃文庫)
(2010/10)
鎌池 和馬

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◇鎌池和馬《とある魔術の禁書目録》シリーズ(電撃文庫)

 説明は不要でしょう。2009年のアニメ化にはじまり、2010年は、スピンオフした漫画の『とある科学の超電磁砲』(電撃コミックス)のアニメが大ヒットしたこともあり、この二年間、ずっとコマーシャルを打ちっぱなし、作品も走りっぱなしで、おそらく、現在、最も売れているライトノベルといったらこのシリーズ――わたしもアニメのレールガンに魅了されて、ついに原作と漫画を全て揃えちゃいました!w 御坂と妹たちと、あと何より打ち止め可愛いよ、打ち止め!!w
 と、まあ、そんなふうに実は、打ち止めラブ宣言をしたかっただけなんですけどw……、2010年度のライトノベル原作アニメといえば、メジャーどころを上げてみると、《デュラララ》シリーズ、《化物語》シリーズ、《バカとテストと召還獣》シリーズなどがあったわけなんですが、やっぱり本作は頭一つ分だけ、抜けていたんじゃないかな、と。
 個人的には、一方通行さんと打ち止めさえ出てくれれば、それだけでハッピーだったりします。浜なんとかさんはどうでもいいので、よろしくお願いします(おい)。


 
サクラダリセット4  GOODBYE is not EASY WORD to SAY (角川スニーカー文庫)サクラダリセット4 GOODBYE is not EASY WORD to SAY (角川スニーカー文庫)
(2010/11/30)
河野 裕

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◇河野裕《サクラダリセット》シリーズ(角川スニーカー文庫)

 ここ最近のライトノベル作家さんの中で、キザったらしい文章を書かせたなら、この作者さんの右に出る人はいないはず。おそらく、杉井光さんも、犬村小六さんも霞んでしまうほどじゃないでしょうか。昨年までは、てっきり乙一さんコースを進んでいくのかなと思っていたのだけど、今年に入って、一気に三作もリリース。もしかしたら、今、スニーカーの稼ぎ頭となっているのかもしれません。
 とはいえ、全体的には「能力」の設定がまだ甘く、そのせいで伏線の張り方やストーリーの転がし方も強引に展開しがちなところが多々あったりするわけですが、そんな瑕疵が気にならないくらい、きれいな文章だけでしっかりと読者を魅了してしまう力強さも持ち合わせています。ライトノベルではなく、ラブロマンスを書かせたなら、間違いなくセカチューのフォロワーになれるといった実力があるだけに、もしかしたら、そろそろ小学館あたりが動いてもおかしくはないんじゃないか、とw
 とりあえず、1巻を読んでみて、続きにも興味を持ったなら、ためらうことなく、3巻まで一気に読むべし。個人的には、5、6巻あたりでさらに化けるんじゃないかな、と期待しています。


 
神の棘 1 (ハヤカワ・ミステリワールド)神の棘 1 (ハヤカワ・ミステリワールド)
(2010/07/22)
須賀 しのぶ

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神の棘 2 (ハヤカワ・ミステリワールド)神の棘 2 (ハヤカワ・ミステリワールド)
(2010/08/25)
須賀 しのぶ

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◇須賀しのぶ『神の棘 1・2』(早川書房)

 ライトノベルじゃなくね? ――という疑問はとりあえず脇に置いておきましょう。
 須賀しのぶさんといったら、コバルトの《流血女神伝》シリーズがあまりにも有名ですが、昨年あたりから一般書にも進出していて活動の幅を広げています。そもそも、《流血女神伝》シリーズ自体、少女小説というジャンルを超えた作品だっただけに、須賀しのぶさんの越境はむしろ遅すぎたぐらいだといっていいでしょう(もし、男性でこのシリーズをコバルトというだけで読んでいなかったなら、かなり損をしています。早く手に取った方がいいですよ)。
 昨年の『芙蓉千里』(角川書店)では、日露戦争時のハルピンにて女郎として売られた少女を描き、『本の雑誌』の2009年度ベスト10にもランクインしていました。とはいえ、須賀しのぶさんの作品をずっと追ってきた読者からすれば、《流血女神伝》シリーズなどでよく見かけたキャラクターと展開でもあり、ハードカバーで歴史小説に挑戦したという以外にはさほどの驚きはなかったといっていいかもしれません……
 しかし、この『神の棘』は少しだけ毛色が違います。何しろ、早川書房からミステリと銘打って出されている上に、ヒトラー政権時の歴史ロマンです。ナチスドイツを舞台にしていて、その将校と衛生兵を主軸に置いている時点で、凄惨な悲劇がすぐに予想できるわけですが、実際に二人には地獄のような現実が何度も突きつけられます。そんな運命をどのように突き破っていくのか――とにもかくにもハードカバー二冊という分量が全く気にならない怒涛の展開で本当に素晴らしい。惜しむらくは誤字が多いこと。あと、こちらは《流血女神伝》シリーズとは異なり、ややホモなことw(男性読者はちと敬遠するかなと……)
 2010 年度『このミステリーがすごい』13位にランクイン。同じく本年度の大藪賞にもノミネートされた作品。これから須賀しのぶさんがどんどん一般書でも暴れまくることを想像すると、来年度の飛躍が本当待ち遠しくて楽しみです。



◇その他

・朝田雅康、『二年四組 交換日記 腐ったリンゴはくさらない』(集英社SD文庫)
・犬村小六、《とある飛空士》シリーズ(小学舘ガガガ文庫)
・兎月竜之介、『ニーナとうさぎと魔法の戦車』(集英社SD文庫)
・本田誠、『空色パンデミック』(ファミ通文庫)
・間宮夏生、『月光』(角川スニーカー文庫)

【小説】素敵なタイトル

2010年12月26日 20:46

 こんにちは、mayaです。

 こないだ、とある投稿サイトの交流用掲示板に「素敵なタイトル」というスレが立っていたのですが、わたしが気づいたときにはすでにスレもまったりと終わっており、とはいえ、つれづれなるままにわたしもいくつか思いついてしまったので、こうしてブログにまとめてみることにしました。一つのジャンルにつき五タイトルという縛りを設けています――


◇ライトノベル
・『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』(桜庭一樹、角川文庫)
・『さよならピアノソナタ』(杉井光、電撃文庫)
・『時の果てのフェブラリー』(山本弘、角川スニーカー文庫)
・『脳Rギュル ふかふかヘッドと少女ギゴク』(著:佐藤大、原作:夢野久作、小学館ガガガ文庫)
・『ブギーポップは笑わない』(上遠野浩平、電撃文庫)

◇文芸
・『愛と幻想のファシズム』(村上龍、講談社文庫)
・『或阿呆の一生』(芥川龍之介、新潮文庫等)
・『永遠も半ばを過ぎて』(中島らも、文春文庫)
・『エル・アレフ』(ホルヘ・ルイス・ボルヘス、白水社uブックス)
・『存在の耐えられない軽さ』(ミラン・クンデラ、集英社文庫)

◇SF
・『あなたの人生の物語』(テッド・チャン、ハヤカワ文庫SF)
・『アルジャーノンに花束を』(ダニエル・キイス、ダニエル・キイス文庫)
・『時をかける少女』(筒井康隆、角川文庫)
・『たった一つの冴えたやりかた』(ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア、ハヤカワ文庫SF)
・『天の光はすべて星』(フレデリック・ブラウン、ハヤカワ文庫SF)
 ※SFは良いタイトルの宝庫だと思います。他にもたくさん!

◇ミステリ
・『あなたに不利な証拠として』(ローリー・リン・ドラモンド、ハヤカワ・ポケットミステリ)
・『女には向かない職業』(P・D・ジェイムス、ハヤカワ・ミステリ文庫)
・『そして誰もいなくなった』(アガサ・クリスティ、ハヤカワ・ミステリ文庫)
・『独白するユニバーサル横メルカトル』(平山夢明、光文社文庫)
・『封印再度 WHO INSIDE』(森博嗣、講談社文庫)
 ※逆にミステリは即物的というか、そっけないタイトルが多い気もします……

◇ファンタジー(ダークファンタジー、ホラーを含む)
・《新しい太陽の書》(ジーン・ウルフ、ハヤカワ文庫SF)※日本ではシリーズ名
・『死者の書』(ジョナサン・キャロル、創元推理文庫)※原題は異なります
・『世界の合言葉は森』(アーシュラ・K・ル=グウィン、ハヤカワ文庫SF)
・『瓶詰の地獄』(夢野久作、角川文庫)
・『人間椅子』(江戸川乱歩、角川文庫等)

◇その他
・『悪の華』(ボードレール、新潮文庫等)
・『死にいたる病』(キルケゴール、ちくま学芸文庫等)
・『書を捨てよ 町へ出よう』(寺山修司、角川文庫)
・『メッセージ イン ア ボトル』(ニコラス・スパークス、ソニーマガジンズ)
・『もしも世界が100人の村だったら』(C.ダグラス・ラミス、マガジンハウス)


 もっと思いつけそうなんですが、それはまたの機会にしましょう。今年のクリスマスは皆さん、いかがおすごしだったでしょうか。もうそろそろ年末となりますが、よいお年をお過ごしくださいorz


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