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【漫画】久保ミツロウ『アゲイン!! 5巻』(講談社)

2012年07月24日 00:01


アゲイン!!(5) (KCデラックス)アゲイン!!(5) (KCデラックス)
(2012/07/17)
久保 ミツロウ

商品詳細を見る

公式HPはこちら(講談社週間マガジン作品紹介ページ)
※第一話の試し読みができます。


高校生活三年間、友達も思い出も作らず卒業式を迎えた今村金一郎。だが同級生の女子・暁と階段から転げ落ち、気づいたら3年前の入学式の日へタイムスリップしていた! 憧れていた女団長・宇佐美と再び出逢った金一郎は、応援団に入団し宇佐美が独りで頑張る応援団の建て直しを目指す!!(上記公式より作品紹介)

もし金一郎が“アゲイン”していなかったら。その世界での宇佐美は、応援団が潰れた後、学校を辞めて行方もわからないまま……。
再び三年前の世界に戻った金一郎は、宇佐美にアゲインのことをぶっちゃけ、彼女の悲惨な運命を変えるため行動を開始! 未来を左右する野球部対抗戦まではあとわずか。応援団はガッチリ団結して新しい応援を作ろうとするのだが、なぜか金一郎と宇佐美の仲に尾ヒレがついて大スキャンダルに巻き込まれたり、金一郎への気持ちに気づいたレオが泣き出したり、前途多難なその道のり。“アゲイン”で、世界を変えることはできるのか!?(五巻の帯より)


「応援団を好きになってもらってから、今度は野球部を好きになってもらえる応援をすること。観客と試合をつなげる応援団がまず信用されなきゃダメだろ」
「そんなこと言われてもどんな応援だ!? 好きになってもらえる応援とか……考えたことなかった…そもそもそんなの応援なのか……」
「だから、団長が一番かっけーって思えるトコは俺が分かるから、俺が団長をプロデュースしてやるよ」
(今村金一郎、宇佐美良子、pp39-40)

「応援を……こんな楽しんでいいもんなんだろうか…バカにされたりしないだろうか…今までもっと厳格なものだったのに急にこんな……」
「ひょっとしたら大スベリで総スカンかもな」
「えっ」
「そんで試合もボロ負けとかで、でも、俺は、団長が一人で応援しようとして失敗して、試合も負けて学校も辞める世界よりかはマシだと思う。いいじゃん、別に。同じ後悔なら、やりたいことやった後悔しようぜ」
(今村金一郎、宇佐美良子、pp84-85)

“お前のせいで負けたんだ”
“今村さえいなければ”
“ジャマなんだよ”
 俺のせいでもし負けたら、団長は……
 考えるな!!
「………………やべえ……全然寝つけなかった…」
 アゲインでこの世界、変えてやる!!
(今村金一郎、pp86-88)



 こんにちは、mayaです。
 応援団を扱った漫画というのはヤンキーものも含め、スクールウォーズ全盛の80年代から90年代前半にかけて隆盛とは言わずとも、所十三さんの『名門! 多古西応援団』(講談社)や石山東吉さんの『男旗』(秋田書店)などいくつか有名な作品が出てきました。あるいはメインではなくとも、『ろくでなしBLUES』(集英社)の輪島や大橋、『はじめの一歩』(講談社)の梅沢も良い味出していました。

 しかし、バンカラ気質が死滅し、番長というポジションもすっかり死語となり、野球やラグビーよりもサッカー人気が高くなった現在、応援団をモチーフにした作品はめっきり目にしなくなっています。

 そういった状況の中で、2001年に久保ミツロウさんは『3.3.7ビョーシ!!』(講談社)を引っ提げて『週刊少年マガジン』で連載をはじめ、その後も『トッキュー』(講談社)という男臭い(というよりはいかにも少年漫画らしい)作品を長らく描き、それから変化球の『モテキ』(講談社)の大ヒットで多くのファンを獲得しました。

 そんな久保ミツロウさんが次に何を書くのか? ――答えは意外にも原点回帰でした。それも、もうほとんど誰も書かなくなった応援団をモチーフとした漫画。

 そして、『アゲイン!! 1巻』のあとがきにて「高校の頃からずっと描きたかった応援団。すでに『3.3.7ビョーシ!!』で描いたのでは、と言われますが。いや、あれは応援団がなくなる話ですから!! 全然応援団描いていないから!!」と記し、このモチーフに全力で取り組むことを宣言したのです。


 本作の魅力は、何といっても一癖も二癖もあるキャラクターたちに尽きます。まずはヒロイン(たぶん)の女の応援団長こと宇佐美良子さん。眉はきりりと太めで黒い長髪ストレート。これは萌える。可愛いというよりも正しく清廉。しかも孤高。だがしかし、よくよく読んでいくと……これが何とまあ見事な脳筋!! 好きな言葉は、努力、根性、伝統と精神、そして全力! 『魁!! 男塾』とか『金剛番長』とか『天元突破グレンラガン』あたりにぶちこんでも全く違和感のないキャラだったりします。

 対する主人公の今村金一郎くんは金髪のロングストレートで眉なし。その怪しすぎる容貌から小中高とぼっちで過ごしてきたコミュ障男子。ひきこもりにならなかったのが不思議なくらいですが、同性から見ても色々と救いようがなく、言葉使いも悪く、態度も悪く、性格もマイナス方向にねじ曲がっていて、たまにかっこいいこと言っても顔がすげえ引きつっていたりと、まあ、それでもたまに見せる弱さが妙に母性本能をくすぐるときもあります(たぶん)。

 ストーリーはそんな金一郎くんが高校三年最後の卒業式の日に、たまたま旧校舎で出会った藤枝暁さんに何か勘違いされ、一緒に階段から落ちて意識不明の重体となるところからはじまります。気づいたときには金一郎くんは高校一年の姿に戻っていました。つまり、タイムリープ(作中では“アゲイン”)していたのです。

 金一郎くんには一つの心残りがありました。それは入学式の後に女応援団長の三年生・宇佐美良子さんから声をかけてもらったこと。実は金一郎くんは、宇佐美さんが壇上でたった独りで行った新入生歓迎エールに感じ入っていたのです。だから、呼び止められたときに逃げてしまった金一郎くんはずっと後悔していました。なぜなら、そのすぐ後に応援団が潰れてしまったからです――あのとき、もし逃げずに応えていたら……


 作品はその後、応援団に入部した金一郎くん、彼と同様にアゲインしてしまった藤枝さんを巻き込み、チアリーディング部との確執、宇佐美さんから離れていった元団員との和解、そしてライバルとなるかぼ高(かぼす国際スーパーサイエンス高等学校の略)の登場に、タイムリープと恋愛とドタバタコメディも入り混じって、怒涛のごとく展開していきます。

 1・2巻は、潰れてしまう応援団を立て直そうとぶつかり合う青春タイムリープものとして、3巻はおぱーいもみもみやパンツ姿なども飛びかう色ものコメディとして、4巻からは再び未来に戻ってしまうトラブルを乗り越えて、負けるはずだった定期戦と、その後に自主退学をしてしまうはずだった宇佐美さんの人生を変えるためにもう一度アゲインするSFとして、作品はがむしゃらに進んでいきます。

 そして本巻では、金一郎くんと藤枝さんのアゲインの秘密を知ってしまった宇佐美さんがついに金一郎くんと恋愛がらみで学校中を巻き込む大スキャンダルを起こしてしまいます。いつも思うんだけど、頬を赤らめる宇佐美さんは素晴らしい。あと、pp5のエイリアン顔……何という顔芸……

 それに加えて、宇佐美さんは伝統や精神に囚われていた自分自身も見直し、さらに金一郎くん自身も「アゲインでこの世界、変えてやる!!」と決意をするといったふうに、今巻は正しく転機の回だと言っていいでしょう。

 青春とは、もしかしたら何かに勝つまでかわいく踊って楽しむことなんじゃないかと、ふとほろ苦く思わせてくれる作品。本当にごちそうさまでした。何より、嫌なキャラクターが一人もいないというのも珍しい。色々と画策する安部珠貴さんも、おっぱいもみもみ部長とマネも、おばあちゃんや北島先生さえも愛しく思える不思議な作品。

 金一郎くんはもとの世界に再び戻ったとき、果たしてそこに何を見出すのでしょうか。
 その前に、次巻は「恋愛爆弾暴発」との予告なので、金一郎くん・宇佐美さん・柴田さんの三角関係と、鈴木くんと柴田さんの新展開、それにチャンクマの動向と、ヒロくんと藤枝さんの元サヤもわたし気になります。



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